「脳のなかの幽霊」

脳のなかの幽霊(V.S. ラマチャンドラン)を読みきった。知識欲も満たされたし、読み物としても面白かった。
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概要

筆者が脳の一部に欠陥をもつ患者に様々な実験を行い、その結果から得られる事実にもとづいて人間の脳の機能について明らかにしていく。
例えばその実験の対象の一つにファントムリム(幻肢)と呼ばれる、存在しない手足が存在するように錯覚するという現象がある。ファントムリムに対して筆者は左右の手を鏡で仕切る装置を用意し、存在しない片手をあたかも存在するように見せることで「幻肢の切断」に成功している。

面白かったトピック

  • ファントムリム
  • 身体と心が一対一で不変であるという思い込みの脆さ
  • シャルルボネシンドローム
  • 否認
  • 面白い話に共通する特徴
  • サッカリンとクロスファミドのマウスへの同時投与
  • クオリア問題

所感

無意識的な脳の活動を本書では「ゾンビ」と呼んでいる。そのゾンビの活動が脳の活動の90%を占めるらしい。本書で出てくる症例の多くが、ゾンビがうまく機能しない場合は日常生活に大きな支障を及ぼすことを示している。
またゾンビが意識に対して及ぼす影響も大きいことがわかる。例えば「否認」と呼ばれる症状においては、自己防衛のために記憶まで改ざんされることがわかる。
私達の日頃の言動や認識は実はゾンビに大きく左右されているのだ。これは少し怖い気もする。自分たちの意識が実は無意識の影かもしれないのだ。
「我思う故に我あり」とか言っている自意識が実は無意識の影だとしたらなんとも滑稽だ。
もっと無意識について多くのことを把握し、その特性や自意識との関わりを理解したい。
理解がすすめば、「自己実現」が用意になったり、うつ病の治療方法が分かる日が来るのかもしれない。
続編がでているのでそちらも読みたい。http://www.amazon.co.jp/%E8%84%B3%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%AE%E5%B9%BD%E9%9C%8A%E3%80%81%E3%81%B5%E3%81%9F%E3%81%9F%E3%81%B3-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%87%E5%BA%AB-%EF%BC%B6%E3%83%BB%EF%BC%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3/dp/4042982166/ref=pd_bxgy_b_img_y/378-8288823-7720935